遊びとは生活
2026年10月07日
「待って」という言葉=「やめて」や「そこまでにして」などマイナスのイメージを持つワードになりがちですよね。保育の現場でも「待って」が子どもの遊びを止めてしまうのでは、適切ではないのではとされることもあります。では、この話の「待って」はみなさんどう思いますか?
☆エピソード
保育士と2歳児たちが再現遊びをしていました。家で支度をして、バスに乗って、温泉に行って・・・。どんどん変わる展開に子どもたちのわくわくも急上昇。動きも早く、声も早口で大きくなっていきます。
すると、保育士が「待って!」と一言。
みんなの顔が驚いたように動きが止まり、保育士を見つめます。
保育士「・・・・。ねえ、、お風呂に行くのに石鹸持った?」
子どもたち「せっけん!せっけん!!」
保育士「待って!」振り向く子どもたち
保育士「・・・。あとは何を持っていく?」
すると、子どもたちは考えます。(お家のお風呂場には何があるかな??)「タオル」「あわの」
「あーこれも持って行かなくちゃ」とそれぞれカバンにつめて出発。
バスを降りてお風呂に入り、そわそわと帰り支度を急いでいる子どもたち。
ここで「待って」と保育士。
またまた子どもたちの動きは止まり保育士の方を見ます。今度は驚いてはいません。
次は先生は何の質問をしてくるのだろう、期待の顔です。
保育士「・・・。何か忘れもの・・ない?」
一人の子が「けいたい」
保育士「え?けいたいが見つからないの?」
別の子が「赤ちゃんもいない」
保育士「大変、これは事件だ」
子どもたち「警察に電話しなきゃ」
その声を聞いて別の遊びをしていた子が「う~、う~」と警察になってやって来ました。
いかかですか?
私は、この遊びを見て保育士の一言「待って」と聞く前の「・・・・」しばしの沈黙。これが素晴らしいと思ったのです。これがもし「待って、待って、待って」と連呼したならば、たぶん子どもたちの動きは止まらなかったでしょう。沈黙がなく「○○持った?○○は?」と言ってしまえば子どもたちは考えることを止めてしまいます
。
目まぐるしいい展開の中に「待って」を入れることで、子どもたちが考える時間がうまれる。保育士主導のようで子どもたちが決める遊び、保育士はストーリーテラーとして大きな道筋を立てればいいと学びました。
☆保育士のインタビュー ~再現遊びをした保育士の想い~
今回は雨が続き、散歩もできない心も体もうずうずとした日の出来事でした。朝からなんだかピリピリとした子どもたちの姿もあり、ゆっくり、まったり遊べたらいいな・・。という想いがありました。
再現遊びが始まっても、遊びの世界に入り込めず家の中もバスの中も”お母さん”たちの荷物でぐちゃぐちゃに!!大切な赤ちゃん人形もバスの中に置いてきてしまう大事件も!ここは保育士がこの世界を誰よりも信じ、楽しもうと思い「待って」と声をかけました。
ちいさな”お母さん”たちが役になりきり、再現ができるようストーリーテラーとして物語を整えました。5人の”お母さん”がそれぞれの再現を楽しみつつ、他の”お母さん”の姿も認識できるように保育士は言葉を選びます。
今日は「待って」と声をだしましたが、子どもたちのやりたい!たのしい!のパワーはそのままに、再現に入り込める言葉がけは他にどんなものがあるか、日々考えています。

☆追記
遊びには入らない子どももいます。それはその子が自分の遊びを選び、選べたことが素晴らしいのです!保育士はその子の事も含めて遊びを展開しています。一つの円の外にいるようで保育士とちゃんと心の糸は繋がっている。だから安心して遊べる。空間が心地いいものとなる。
こんな素敵な空間つくりを日々考えながら私たちは保育をしています。


